韓国政府、韓米合同演習の分離実施検討…北朝鮮に「誤ったシグナル」懸念
? 中央日報/中央日報日本語版2025.08.03 10:55
今月中旬に始まる韓米合同演習「乙支(ウルチ)フリーダムシールド」で実施される野外機動訓練の一部が来月以降に延期される可能性が大きいことがわかった。訓練規模ではなく日程の変更だが、統一部の鄭東泳(チョン?ドンヨン)長官が韓米合同演習の「調整」を李在明(イ?ジェミョン)大統領に建議すると明らかにしてから実際に政府内で関連議論を進める形となった。
軍消息筋によると、韓米は演習期間にシミュレーションに基づいた指揮所演習(CPX)は予定通りに実施するが、野外機動訓練(FTX)のうち一部は猛暑などを理由に来月に延期する案を議論している。今回の措置は韓国側が提案したもので、これを米国が受け入れるかがカギだ。
演習期間中の連隊級野外機動訓練は南北と米国の外交的対話を後押しするために文在寅(ムン?ジェイン)政権当時の2018年から中断され、尹錫悦(ユン?ソクヨル)政権が発足した2022年から再開された。通常行われる30~40件の野外機動訓練のうち10件ほどが延期対象という。軍は指揮所演習と直接関連した野外機動訓練や米軍装備を活用して行う訓練の延期は難しいが、残りの訓練は柔軟に日程調整が可能とみている。
韓国軍は一部野外訓練の時期が調整されても訓練全体の規模と強度は変わらないと説明する。しかし軍内外で対北朝鮮融和策の一環としてこうした措置を検討しているとの見方が相当にあるのは、北朝鮮が合同演習を非難すると韓国政府が呼応するように合同演習調整を持ち出して実際に検討が続く流れのためだ。絶対的な期間や規模の縮小ではない以上、北朝鮮がこれを評価して呼応する可能性も大きくないと指摘される。
先月28日に北朝鮮の金与正(キム?ヨジョン)労働党副部長は李在明政権発足後初めて対南談話を出し「侵略的性格の大規模合同軍事演習の連続的な強行」を批判した。これに対し約9時間後に鄭長官は大統領室に演習調整を建議するとし、「8月の韓米合同軍事演習が南北信頼の照尺になるだろう」と話した。
専門家らはこうした一連の過程が北朝鮮に誤ったシグナルを与えかねないと懸念する。梨花(イファ)女子大学北朝鮮学科のパク?ウォンゴン教授は「戦争は天気と関係ないのに前年下半期から計画した演習の一部を猛暑を理由に先送りするのは理解し難い。演習を調整したからと北朝鮮が対話に出てくる可能性は小さく、韓国の対備態勢だけ弱まるだろう」と指摘した。
まだ今回の措置の性格を断定するのは難しいという分析もある。トランプ米大統領が先月30日に「2週間以内の開催」を予告した韓米首脳会談の結果まで見守るべきということだ。首脳会談が実際に2週間以内に開かれるなら8月第2週から第3週と予想される演習と時期が重なることになる。峨山(アサン)政策研究院のヤン?ウク研究委員は「今回の措置の正確な性格は近く開かれる韓米首脳会談結果と後続措置をともに見なければ判断できない」と話した。
トランプ大統領は第1次政権当時にも韓米合同演習を「高いウォーゲーム」と批判した。トランプ政権の安全保障ラインも現在の北朝鮮の在来式挑発対応に焦点を合わせた韓米合同演習を対中牽制の性格に転換しようとする構想を持っているという。ここに李在明政権の演習調整の動きまで重なれば北朝鮮の軍事的脅威に対応する防衛的措置という演習の本来の目的が薄められかねないとの懸念が出ている。